こんな時にこそ一番観たいのに観る事が出来ないドラマ 『パークス・アンド・レクリエーション』とは
NetflixやAmazon prime、Huluなどの登場で、アメリカの人気ドラマの大概は観る事ができるようになった。
しかし、まだ観る事もできなければ一度も配信すらされていない人気ドラマがある。
それが『パークス・アンド・レクリエーション(Parks and Recreation)』だ。
アメリカのTVドラマのランキングには必ず上位にランクインされ、作品だけでなく
そのキャラクターたちも愛されている国民的人気ドラマだ。
〇最高の製作陣
このドラマを作ったのは『ザ・シンプソンズ』の脚本やアメリカ版『The Office』を製作したグレッグ・ダニエルズと、同じく『The Office』や『ブルックリン・ナイン・ナイン』、『グッド・プレイス』を製作したマイケル・シュア。
『The Office』に続く新たな職場コメディを作るためマイケル・シュアは当時ハマっていた、ホワイトハウスを舞台にした政治ドラマ『ザ・ホワイトハウス』を参考により小規模にした地方自治体が舞台のコメディを考えた。
『パークス・アンド・レクリエーション』は、インディアナ州の架空の街、ポウニーの公園緑地管理課を舞台に曲者ばかりの職員とさらにクセの強い住民たちとの交流を描いた物語である。
製作陣は、実際に公園緑地管理課で起きた問題や事件をリサーチし、脚本に取り込んだ。
地方自治体の財政問題などリアルな題材から世界の終わりを信じる宗教団体に公園を貸し出してあげるというクレイジーなエピソードもあり、そのストーリーは多岐に渡る。
〇愛すべきキャラクターたち
ポウニーを愛する公園緑地課の副課長で主人公のレズリー・ノープを演じるのは、
今作の製作も務めているコメディアンのエイミー・ポーラー。
彼女は同僚の誕生日を全員覚えているぐらい優しいが時に愛情が過剰すぎて鬱陶しく、真面目で頑張り屋である一方、インフルエンザに罹っても働こうとしたり、ポウニーを愛するがあまり、ライバルである隣町のイーグルトンに不法投棄しようとするなどたくさんの愛とたくさんの問題点を抱えた、愛すべきキャラクターである。
Best of Leslie Knope - Parks and Recreation
そして、『パークス・アンド・レクリエーション』のもう一人の人気キャラクターは、ニック・オファーマンが演じるロン・スワンソン。
レズリーの上司で、役所で働いているにもかかわらず、政府やシステムを一切信用しない。社会科見学に訪れた小学生の女の子に政府がどれだけ税金を搾取しているかを説いてみたり、個人情報を明かさないためにありとあらゆる自分の個人情報を消して回ったりする生粋のリバータリアン。
Best of Ron Swanson - Parks and Recreation
その他にもレズリーの親友でレズリーから異常な愛情に困る看護師のアン・パーキンスをラシダ・ジョーンズが演じている。
また、名声や女性には熱心だが、仕事はまったくいい加減なトム・ハバーフォードをアジズ・アンサリが演じ、反抗的なインターン、エイプリルはオーブリー・プラザが演じ、アンの元カレでバカなバンドマン、アンディをガーディアンズ・オブ・ギャラクシーで人気になる前のクリス・プラットが演じている。
〇苦戦したシーズン1とちょっとしたテコ入れ
シーズン1の評価は微妙だった。レズリーがただ空回りするところを笑うような『The Office』のような冷めたトーンのコメディになっていて批評家からの評判も良くはなかった。
シーズン2からはとても小さくでも大事なテコ入れをした。
レズリーのキャラクターを変えずに周りのレズリーに対するアクションを変えた。
簡単に言えば、レズリーに対して他のキャラクターが尊敬と愛情を持たせるようになった。
そこを変えた途端、それがほかのキャラクター同士にも影響しあい、『パークス・アンド・レクリエーション』は、優しさと温かみを持ち合わせたドラマになっていった。
さらにシーズン2からは、新たなキャストとして、ロブ・ロウ演じる狂気すら感じるほどのナイスガイのクリス、アダム・スコット演じるレズリーの将来のパートナーにもなるオタクの優男、ベンの2人が追加されてストーリー面、キャスト面でも『パークス・アンド・レクリエーション』は完成する。
では、『パークス・アンド・レクリエーション』はどんなドラマなのか、ここからは、エピソードをいくつか紹介しよう。
〇シーズン3第2話 「フル・シーズン」
レズリーがインフルエンザに罹ってしまう。
職員たちは、レズリーに家に帰れと諭す、ポウニーの収穫祭を企画しているレズリーはただのアレルギーだと言い張り帰ろうとしない。事態はどんどん悪化していってき、レズリーは入院してしまう。
しかし、収穫祭の公聴会があるレズリーは病院を抜け出し、公聴会に参加する。
Leslie Has The Flu - Parks and Recreation
〇シーズン3第3話 「タイムカプセル」
ポウニーを象徴する思い出や記念品を詰めたタイムカプセルを埋める事を決めたレズリーのもとにトワイライトを持った中年の男(ウィル・フォーテ)が現れる。
トワイライトをタイムカプセルにいれるようにレズリーにお願いするのだが、断られてしまう。すると男は手錠で自分を繋いでレズリーのオフィスに立てこもり抗議活動を開始する。男がオフィスに居座るうちにレズリーを含めた職員たちはトワイライトのファンになっていく。
レズリーは男が別居した娘との思い出としてトワイライトをカプセルに入れたいのだと知り、住民の反対を受けながらもレズリーはカプセルにトワイライトを入れるために奮闘する。
Time-Capsule Nutjob Kelly Larson - Parks and Recreation
〇シーズン4第4話「ポウニー・レンジャーズ」
ロンが毎年やっている、ポウニーのボーイスカウト“ポウニー・レンジャーズ”。
そのキャンプにレズリーも参加したいと申し出るがロンはそれを拒否する。
怒ったレズリーはロンに対抗してガールスカウト“ポウニー・ゴッデス”を結成し、ロンがいるキャンプ場にやってくる。ロンの厳しい規律に耐えられなくなった男の子たちは、次々にレンジャーズを抜けて、気づけばロンは独りになってしまう。
一方、ゴッデスの中でも問題が起き始める。
Pawnee Rangers and Pawnee Goddesses - Parks and Recreation
『パークス・アンド・レクリエーション』はシーズン7まで続き全125話、2015年にシーズンフィナーレを無事迎えた。
(最終話が面白くないという海外ドラマあるあるも無事回避した感動的なラストであった)
『パークス・アンド・レクリエーション』は、ただ笑わせてくれるだけでなく時に我々を感動させ大切なものを視聴者に残してくれた。
「人生で大事なのは、仲間とワッフルそれと仕事。
もしくはワッフルと仲間それと仕事。
どんな事があっても仕事は3番目」(レズリー・ノープの台詞)
このドラマでは、常に誰かを気づかい優しくする事の大事さを教えてくれる。
さらに付け加えると、このドラマは、小さな地方自治の話というだけでなく政府・行政のありかた、どうあるべきなのかを我々に示してくれる。このドラマのレズリーのように常にこの街、この国が良くなることを常に考え、さまざまな人と手を取り合いながら進んでいくような人間がいてくれればどんなにいいだろうかと考えてしまう。ドナルド・トランプが大統領になり、さらに新型コロナウイルスがアメリカだけなく世界で猛威を振るっている。
そんな中、新型コロナウイルス対策基金の募金活動のため『パークス・アンド・レクリエーション』はおよそ5年ぶりに一夜限りの復活を果たす。
アメリカの未曽有の危機の時に戻ってきてくれるとは、本当にこのドラマらしいカンバックだ。我々をどう笑わせてどう励ましてくれるのだろうか。今から楽しみである。
『パークス・アンド・レクリエーション』は英語字幕ならば、DVDで観る事ができる。
もし、この自粛中で暗い気持ちになったりするようであれば、この作品を観てみるのはいかがだろうか。