I LOVE LAMP ~コメディのあれこれ~

海外コメディの事を書きます。日本では紹介の少ないものを中心に。主にジャド・アパトー

HBOの新感覚コメディ『How To With John Wilson』

 HBOでまったくもって異色なコメディシリーズが放送されている。

タイトルは、『How To With John Wilson』

 


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※こちら予告を観て気に入った人は是非観てほしい。

 

 今作の監督であるドキュメンタリー監督のジョン・ウィルソンのナレーションとニューヨークの日常を映すエッセイフィルムだ。

我々はジョンが2年間ずっと撮り続けたニューヨークの映像を観せられる。

それは一見、ニューヨークの日常をただつなぎ合わせた映像に見えるが、その中には、ニューヨーカーの可笑しさや奇妙さ、気まずさなどが映し出され、やがてそれらが一つのストーリーを成していき観る者に笑いと時に感動を与える。


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※改札でメトロカードが反応しなくて悪戦苦闘するカイル・マクラクランが偶然映っている


 How to というタイトル通り、各エピソード、それぞれにテーマがある。
第1話では『How To Make Small Talk』と題して、人との世間話があまり得意ではないジョンが、カメラを回しニューヨーク中を歩きながら会話の糸口を探す。

 彼の考えた方法は、エサでおびき寄せる方法。レッド・ホット・チリ・ペッパーズと名前がそっくりなバグパイプバンド、レッド・ホット・チリ・パイパーズのTシャツを着てそれをエサに人から声をかけられるか検証する。


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第3話の『How To Improve Your Memory』では、記憶力を向上させようとさまざまな人と出会う中で、ひょんなことから、「マンデラ効果」という事実とは異なる記憶を不特定多数の人が持つ現象(80年代にマンデラ大統領が獄中死したと事実と異なる記憶を不特定多数の人が持っていたことから、その名づけられた)を信じる陰謀論者と出会い、そのコンベンションにジョンが参加することになる。


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 その他にも、もはやニューヨーク名物と言っても過言ではない、あらゆる場所にある足場について、撮影していくうちに足場のコンベンションに参加し、足場業界の裏側を知ってしまうエピソード、アメリカにもあった割り勘文化をリアルに映し出す中で、なぜかスポーツ審判の組合のパーティーに潜入することになるアポなし取材的なエピソード、さらにはアパートの管理人のおばあさんに最高のリゾットを作るために悪戦苦闘するちょっと泣かせるエピソード(このエピソード撮影中にコロナ禍に突入し、リアルなコロナ禍のニューヨークを観ることができる)など、なかなか言葉では面白さが説明しづらい作品だが、もし日本でも配信されることがあればぜひ観てほしいまったく新しいコメディ作品である。

 


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※こちらが最高のリゾットを作るエピソードの前半部分